小沢一郎・民主党代表辞任会見 詳報

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民主党代表の小沢一郎氏の辞任会見


小沢代表 辞任会見 LIVE中継 その1:Youtube

待ちに待って明日に迫った自民党麻生総理との党首討論が、散々逃げていると批判してきた民主党の行動とは思えない、代表の小沢氏辞任という形で決裂してしまった。



小沢代表 辞任会見 LIVE中継 その2:Youtube

4:40秒あたりで日本テレビのインタビューにキレ気味の小沢元民主党代表

なぜ辞めたのか、映像だけではいまいち掴みにくかったので

政治家の演説にしては、比較的一般的な単語、文章で構成されているように思うが、映像で見る限り、逆にすいすい入ってきてしまってあまり印象が残らないという印象だったので、配布されたという「会見メモ」と、その後の取材・報道陣、マスコミとのやり取りを文字に起こしてみた。

会見メモ

来る衆議院総選挙での必勝と、政権交代の実現に向け、挙党一致の態勢をより強固にするために、あえてこの身をなげうち、民主党代表の職を辞することを決意致しました。

国民の皆さま、支持者の皆さまにご心配をお掛けしたことをおわび申し上げるとともに、特に、この3年間、至らぬ私を支えてくださいました同僚議員のかたがた、党員・サポーターの皆さまに、心より御礼を申し上げます。

もとより、今度の総選挙は、国民自身が政権を選択して、自らこの国と国民生活を救う、またとない機会であります。民主党にとっては、悲願の政権交代を実現する最大のチャンスであります。

民主党を中心とする新しい政権をつくり、「国民の生活が第一」の政治を実現して、経済、社会を根本から立て直すこと。そして、政権交代によって、日本に議会制民主主義を定着させること。その2つが、民主党に課せられた歴史的使命であり、私自身の政治家としての最終目標にほかなりません。

日本のために、また国民にとって、民主党にとって、そして私自身にとっても、何が何でも、ここで勝たなければならないのであります。

それを達成するためには、党内の結束・団結が絶対不可欠の条件であります。党内が乱れていたのでは、総選挙に勝利することはできません。逆に、挙党一致で臨みさえすれば、必ず勝利することができると確信しております。

私が代表の職にとどまることにより、挙党一致の態勢を強固にする上で少しでも差し障りがあるとするならば、それは決して私の本意ではありません。政権交代という大目標を達成するために、自ら身を引くことで、民主党の団結を強め、挙党一致をより強固なものにしたいと判断した次第であります。

まさに、身を捨て、必ず勝利する。私の覚悟、私の決断は、その1点にあります。

連休中、熟慮を重ねて、その結論に達し、決断した以上、党内の混乱を回避するためにも、直ちに連休明けの本日、辞意を表明致しました。ただし、国民生活への影響を最小限に抑えるために、2009年度補正予算案の衆議院での審議が終わるのを待った上で、速やかに代表選挙を実施していただきたいと思います。

重ねて申し上げます。新代表の下で挙党態勢を確立して総選挙に臨むことが、何よりも重要であります。もちろん、私もその挙党態勢の一員として新代表を支え、総選挙必勝のために最前線で戦い続けます。

国民の皆さま、引き続き民主党をご支持くださいますよう、心よりお願い申し上げます。

とうわけで・・・

辞任理由は「挙党一致をより強固にするために」ということだが、「壊し屋」と呼ばれたこともある小沢一郎氏が、民主党の代表となる上で何を目指していたのか、そのために何を行い、何が出来なかった事からこの時期に辞することになったのか・・・ 麻生総理も、代表辞任会見後のインタビューでもコメントしていたが、いまいちスッキリさが無い。

一般的な言葉を使っているからこそ、余計にわかりにくくなっていると感じたのは、もちろん筆者の理解力が低いことも大きな原因であるとは思っているが、文字に起こしても変わらなかった・・・

というわけで、その辺りを突っ込んで聞いてくれるであろう取材・報道陣、マスコミとのやり取りも文字に起こしてみた。

取材・報道陣、マスコミとのやり取り

[取材・報道陣、マスコミ]その1-6:00~
党内の結束、挙党一致態勢を強固にすると言うが、不安を感じる面があったのか。なぜこの時期に辞める決断をしたのか。改めて伺いたい。
代表が離党されるのではないか、議員辞職をされるのではないかとなどという心配があることも事実です。この点も含めて今後の政治活動についての考えを伺いたい。

[小沢一郎氏]
第1点は皆さんお分かりだと思うが、連日皆さんの報道にありますが、それによって結果として党内が不安定になったり、皆が不安になったりしてはいけない。わたしがそのメディアの批判の矛先の相手とされるのなら、わたし自身が去ることによってそれがかわされ、みんなが安心して安定して総選挙に向けて、挙党一致で戦う態勢をぜひつくり上げてほしいし、わたしも一員として協力していきたい。そう思っています。
それから今日辞意表明したからといって、別に政治家を辞めるわけではありません。もうあとわずかの総選挙までの期間です。代表を退いても全力で政権交代のために頑張りたいと思います。

[取材・報道陣、マスコミ]その1-8:30~
辞意を決断するに至った経緯。決断したのはいつか。
今後、新代表を支える上で衆院選対策をどのように行うのか具体的な活動内容を教えてください。

[小沢一郎氏]
民主党の代表を辞する決断をしたのは、最終的に連休でゆっくり考える時間ができた時点でございます。選挙のやり方は、質問者も長年、見ているはずです。選挙必勝のわたし自身のやり方で今後も全力で頑張ります。

[取材・報道陣、マスコミ]その1-9:40~
代表の後継を選ぶ代表選挙について、政権交代をかける選挙にどのような代表が望ましいのか。現時点で意中の人はいるのか。
衆議院選では代表自身が自分自身の後任は最後でいいという事で、まだ後任を指定おりませんが、次期衆院選に立候補するのか。またその選挙区の判断は代表を辞めることによってどうなるのか。

[小沢一郎氏]
辞めていく者が次の人について論ずべきではないだろうと思っています。ましてや、まだ誰が立候補するかも分からない段階ですから、質問にはお答えいたしかねます。
それからさっき言ったように、別に私はこれで辞めるわけじゃない。次の総選挙で勝つことがわたしの最大の願いであり、それは日本の国にとって、国民にとって必要な政治の転換だと思っているので、どこの選挙区であれ全力で戦い、必ず勝ち抜いていきたい」

[取材・報道陣、マスコミ]その2-9:09
先ほどの質問とも関係するんですが、新たな執行部に入り、党幹部職をやってほしいだとか、選挙について責任を持つ立場についてほしいという、そのような要請があれば受けるつもりがあるのか。

[小沢一郎氏]
まだ今日辞意表明して、選挙の日取りをはじめとする代表選挙の手続きもまだ決めておりません。それは明日からです。そして、顔触れもどのような方が立つかさえも分かりません。ですから、新しい代表になったら、どうこうするかという仮定の質問に今答えるべきではないと思います。
ただ、一般論として、党員である以上、みんなで決めたことは守らないとなりません。それが民主主義です。自分は意見が反対だったから守らないでは、国会もすべて成り立ちません。反対した法律でも多数で成立すればそれは法律です。皆で話し合いの上、まとまればいいことですが、話し合いがつかなかった場合は多数決、選挙でということで決するのが先人の知恵であり、民主主義の基本であります。ですから、それによって選ばれたリーダーの命については、わたしばかりではなくして、全員が守らないといけないとおもっております。

[取材・報道陣、マスコミ]その2-2:44
あらためてですが、代表はその事件以来2か月以上経ちますが、進退について「政権交代可能かどうかを一番判断基準にしたい」と繰り返し仰られておりましたが、その中でこの状態で選挙に勝てるというご判断や、国民の理解を得られるという自負というか、判断を示されてきたと思うのですが、その発言と比べて今日の仰られた内容が乖離があるように感じます。その辺をもう一度どう判断が変わってきたのか説明をお願いします。

[小沢一郎氏]
全く私の話を今聞いていただき、配ったメモを読んでいただければ、何の乖離も何の矛盾もありません。民主党にとって挙党一致、団結して力を合わせて国民に訴えるという態勢さえできていれば、必ず国民の信頼を得られると思っております。
その意味において、私は、今日でも民主党は国民の理解を得られると思っておりますけれども、そのことをさらに万全なものにするために、少しでもマイナスの部分は、この際、自分自身が身を引くことで取り除いていきたい。そして、何としても政権交代を実現したい。それが、国民のためであり、民主党の使命である。そう考えている。

[取材・報道陣、マスコミ]その2-4:34
今回選挙と、政権交代のための辞任ということなんですが、党内に突出して、党内だけではなく有権者からも辞任自体が遅すぎたと、遅すぎたことによって党にダメージを与えたという声もあります。そんな中でさらに政権交代に貢献するために、ここから先にさらに進んで離党、あるいは議員辞職ということも選択肢として考えられるのかどうかお聞かせ下さい。

[小沢一郎氏]
なぜ離党、議員辞職しないといけないのんですか?

[取材・報道陣、マスコミ]その2-5:10
献金事件という献金にまつわるイメージを民主党からはがすために離党すべきではないかということです。

[小沢一郎氏]
わたしは、政治資金の問題については、一点のやましいとこもありません。法律に従って、きちんと処理して報告しております。
また、今回は政治的な責任で身を引くわけでもありません。
皆さんのお力添えのおかげで、わたしが3年前に代表職を引き継いだときには、本当に1けたの指示、1けた台だったとおもいますが、今、皆さんの懇切丁寧な報道ぶりにかかわらず、20%以上の支持を持って、自民党とほぼ拮抗しております。
わたしはそういう意味において、本当に国民皆様の理解が、わが党に対する理解、やはり政治は変えなくてはいけないという理解が進んでいる証左だと思っている。わたしも微力ながらそのことに多少なりとも貢献してきたのではないかと思っております。
あなたどこだっけ会社? 日本テレビでもよく国民の皆さんの調査をしてみてください。

[取材・報道陣、マスコミ]その2-6:53
3月の西松報道以来、バッシングもあったのでしょうが、同時に小沢総理を求めるという声は多数あったと同時に思います。私も地方を取材していて多くその声をあげました。その声に応えられなかったという無念の思いはありますでしょうか。

[小沢一郎氏]
個人的にわたしを強く支持してくださる方は、わたしが民主党代表として総選挙に勝ち、総理大臣になることを願っていてくれていたことと思います。
しかし、私自身が何になる、ならないということは自分にとっては問題ではありません。
民主党が中心にして、とにかくこの長期政権、腐りきった政権を変えなくてはいけない。政権交代。それが果たされれば、わたしにとってはまったく本懐でありまして、それ以上の期待をしてくれた支持者の方がおりましたとすれば、申し訳ないことではありますけれども、わたしの政治家としては政権交代、国民生活第一の政治、国民サイドにたった政治、そして日本における議会制民主主義の確立。これが樹立されれば、少なくともそのスタートを切れるということを自分の目で確かめることができるとしたならば、それはまさに政治家の本懐、男子の本懐。そう考えております。

終了

辞任理由は

内容だけを読み取ると、 党内の結束、挙党一致態勢を崩す理由が小沢氏にあるようなので、それを退けるために辞任した。 ということのようだ。

どちらかというと、辞任するに至った結束、挙党一致体制を崩す理由が聞きたかったのは筆者だけだろうか。
少なくとも、筆者はもう少し掘り下げて聞きたかった。
特に、その2-4:34にて日本テレビのナナオ氏が質問し、小沢氏の感情が高ぶったことからも、西松建設の献金問題と、辞任とを切り離したい印象を受けた。
となると、献金問題以外の結束、挙党一致体制を崩した理由の方が、今後政権となることを目指す党として、はっきりさせておいた方が良かったのではないか・・・

結束、挙党一致体制を崩す要因がはっきりしないまま、新代表を迎え、
総選挙を迎えるに当たって、政権交代をしようという流れにおいて、引き続き時間と、他の政治報道にかき消されながら進んでしまうのは、非常に残念でならない。

自民党に対して、そして何よりも有権者を含めて、国民、そして日本を見守る人たちに対しての根本的なメッセージが伝わってこない。
これでは政権奪取される側は、今以上に有権者、国民、日本を見守る人たちに対する政治的メッセージを出し、実現していくことの焦燥感もそれほど無いのではなかろうか。
お互いに刺激し合う事で、より良い日本になるために、与党と野党が存在しているはずなのだが・・・

元民主党代表小沢一郎氏のこれまでの発言

1989年自民党の幹事長就任から、民主党代表辞任までの発言をざっくりとまとめてみた。

1989年8月 自民党幹事長就任
戦後の枠組み、仕組みそのものが転換の時期に差し掛かっている。勇敢に取り組むことが必要だ

1995年12月 新進党党首就任挨拶
私たちの心、主張を国民に訴え、支持を得て必ず政権を奪還しなければならない

1998年11月 自民党と連合合意後、自由党党首時の記者会見
政党としても、政治家としても自自連立合意は大変良かった。以前から考え方が合えば、どことでも協力すると言っていた

2003年7月 民主、自由両党の合併合意後の記者会見時
政権を取らないといかん、総選挙に勝たないといかん、その一点だ、基本は

2006年4月 民主党代表選時
まず私自身が変わらなければならない。皆で力を合わせて何としても政権交代を目指したい

2007年11月 自由党との大連立構想をめぐって、表明した辞意を撤回した記者会見時
張り詰めていた気持ちが途切れ「プッツンした」という精神状態に陥った。私の無精や口下手で誤解を招いている点があれば反省し、分かりやすく丁寧にいろんな場面に応じていく

2008年9月 民主党代表3選での所信表明時
国政を担おうとする政治家としては精神的にも、肉体的にも次期衆院選は最後の一戦だ。この一戦に政治生命を懸け、政治生活のすべてをつぎ込む

2009年3月 西松建設巨額献金事件にて公設第一秘書逮捕を受けた会見時
衆院選が取りざたされている時期の異例な捜査には、政治的にも法律的にも不公正な検察権力の行使という感じを持つ

2009年3月 同公設秘書の起訴を受けた会見時
国民の側に立った政治を実現するため今後も頑張る。政権交代が最後の仕事だ

2009年5月 民主党代表辞任会見時
政権交代実現に向け、挙党一致の態勢をより強固にするため、あえてこの身をなげうち、代表の職を辞することを決意した

【出典・引用】
西日本新聞|小沢・民主党代表が辞任 会見詳報

【関連】
observation.jp|Prime Minister of Japan

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