携帯ゲーム、というと携帯電話向けのアプリゲーム・オンラインゲームと間違えそうですが、ここのところ筆者の乗る都内の電車の中でDS Lite、PSPを弄っている人を見ない車両はありません。
それだけ世の中に出ていることでもあるのでしょう。
米GIZMODOのマーク・ウィルソン記者が、同米GIZMODOのジェイソン・チェン記者が書いた「 PSPがDSに勝つかもしれない8つの理由 」という記事が大好評だったので、
"ソニーPSPが(素晴らしいのに)任天堂DSに逆立ちしても勝てない8つの理由"
として執筆していたのが、内容もさることながら、マーケティングを行う際の視点というか、プロモーションを行う際に比較対象をどのように意識するかという点においても面白かったので紹介。
【引用元:Yahoo!JAPAN ニュース】
■ 1. PSP Slimが最初の2カ月の売上げが上だったのはDS Liteが品不足だったせい
ソニーは発売2カ月でPSP-2000を200万台出荷しプラットフォームに再び活気を取り戻しました。これはすごいニュースです。特にDSの同時期の売上げがたったの182万8621台止まりだったことを考えると...。
でも任天堂の販売・出荷が伸びなかったのは品切れのせいで、DSの品切れは至る所で起こっています。しかもこれはDS Liteに始まったことではないのです。DS発売時、輸入代理店のPlay Asiaではこう書いてます。
- 任天堂DS(TM)のハード供給が2005年末から厳しくなっています。ほとんどの店では何週間も品切れが続いていて、新入荷と同時に飛ぶように完売になっているのが現状です。
■ 2. 売上げ
DSの販売台数は世界で4000万台を突破。ソニーは2500万台です。どちらも大きいですけど任天堂は既に2対1でリードしてることをお忘れなく。
■ 3. 任天堂にはWiiのブランド力がある
家庭用コンソールでは世界をリードしているのは任天堂です。Wiiは発売以来ずっとXbox 360やPS3にひと月として売上げで負けていない。ビデオゲームではとりあえず任天堂が最強でしょう。
■ 4. PSPにはオルタナティブなエクスペリエンスがない
PSPはプレステという看板の陰で市場シェアを争わなくてはならない。つまりPSPはその言葉通りの「ポータブルなプレイステーション」なわけで、それはそれで素晴らしい反面、ポータブルな以外にPSP独自のインターフェイスというものがない。ソニーがやっているのは大きいミカンと小さいミカンを売ってることです。
その点、任天堂はスクリーンが2つあってタッチもあったり、ミカンとリンゴを売り分けてる。最初はそれがギャンブルだったわけですが、いざやってみたら一般の人たちはデバイス別にゲームにも異なる風味を求めていることが分かった...と。Wii を買ってもDSの代わりにはならないし、その逆も然り。だから、みんな両方買いたがるんでしょう。
(訳注 : PSPのワイヤレス機能とメディア機能は? と反論あり)
■ 5. DSは後方互換性でDS以外のものもサポートできる
PSPはPSPゲームやるには最高です。でも、DSはソニーのPS2で得た教訓を活かして、ゲームボーイアドバンス(GBA)のタイトルも遊べるようにしました。大した違いではないですけど、後方互換性はあるにこしたことはなくてコンソールの売上げにマイナスには決してならないもの。特にこれだけ大きなライブラリをサポートするなら。
(訳注 : 新しくPS1ダウンロードストアができたの忘れてない? と反論あり)
■ 6. DSの方がゲームの売れ行きも良い
ソフトもプラットフォームと同じぐらい重要ですが、PSPにはビデオゲーム歴代売上げチャートトップ100に入るタイトルはありません。一番売れてるので『Grand Theft Auto: Liberty City Stories』の450万本です。一方、DSはトップ100入りが8タイトル。『Nintendogs』は世界売上げ1541万コピーでトップ10です。1000万枚突破のタイトルはそれ以外にも。マリオとポケモンもあるし。
■ 7. カジュアル市場がターゲット
カジュアルゲーム侮っちゃいけませんよ。市場は大きいんです。 一説には年間売上げ25億ドルという推計もあるほど(怪しい数字ですけど)。DSはカジュアルもハードコアも両方いけます。PSPは同じじゃないような...。
■ 8. DSが空前の売れ行きだったのはブラックマンデー(感謝祭明けの金曜で、アメリカ中がバーゲンに狂う日)
任天堂は感謝祭の1週間でDS65万3000台販売の過去最高を達成しています。
企画段階のマーケティングでも競合製品との比較は重要ですが、プロモーション時のマーケティングにおいても競合製品との比較は重要であり、市場に展開した後もマーケティングは重要です。
それぞれのマーケティング時に重きを置くポイントは変わってきますが、市場に展開した後の効果測定においては、数字のマジックというか、視点をずらすことで非常に良い結果を生んだと見せることができます。
しかし、あえて視点をずらして良い結果を生んだと見せながら、実際には多くの改善点と、改善ポイントがあることを把握していて、
良い結果を生んだことでさらなる予算を抽出し、改善点、改善ポイントに注入する。
というシナリオが描ければ、スパイラルアップとなるでしょう。
しかし、視点がずれていることに気がつかないまま、良い点ばかりに気を取られてしまい、このまま市場への供給を増やすためにコストをかけていく。
なんてことになると、スパイラルアップどころか、ダウンしていき、最終的にはスパイラルではなくツイストし、千切れてしまう結果になりかねません。
斜に構えてひねくれた視点で分析することが重要だとは言いませんが、筆者は、ひとつの方向からの視点だけに捉われないように、様々なジャンルの情報にアンテナを張りながら、様々な方向から分析することができるように、俯瞰的な視点を意識しながら分析をすることを心がけるようにしています。
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