インターネット広告費、三か月連続で2ケタの伸び率

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経済産業省から11月15日、特定サービス産業における動態統計データの2007年9月分が発表されました。
これにより、インターネットの広告費は前年同月比で22.5%と三か月連続して2ケタ台の伸びを示していることが明らかになりました。
一方で4大メディアと言われている4媒体(新聞・雑誌・テレビ・ラジオ)の合計は0.9%の減少を見せており、少なくとも広告費の面では広告出稿側がそれぞれの媒体に対する注力度を変えつつあるようすがうかがえます。
【経済産業省:特定サービス産業動態統計調査資料】

先日参加したセミナーにて、日経BPコンサルティングの樫村社長とゴルフダイジェストオンラインのマーケティングチームリーダー中澤氏、オーリック・システムズの幾留社長、アイティメディアの役員であり編集長の斎藤氏のパネルディスカッションでも、Web媒体と4大メディアがどのように共存していくかという話題があがり、現状媒体としてはコンテンツが必要である事はWebも他メディアも変わらない。そのコンテンツでどれだけ市場の興味を惹くことができるのかが基本的な課題であるという話題があった。
これには、4大メディア市場の広告費の伸び率がWebにおされているからこそ、4大メディアはコンテンツの価値で勝負をしていく姿勢にも捉えられ、個人的には、4大メディアで話題になったコンテンツの偽装が無くなり、より精度の高い情報を提供していく姿勢に繋がると良いと感じました。

実際に発表されたデータによると、広告全体の売上は2007年9月一か月間においては5363億5500万円となり、前年同月比で2.6%のプラスとなり、三か月連続してプラスを示しています。
内訳を見ると4大メディア(新聞、雑誌、テレビ、ラジオ)の合計は2118億6700万円で三か月ぶりに前年同月比マイナスとなっており-0.9%の値を示しています。
一方、インターネット広告は計測そのものが昨年1月から始まったこともあり、「前年同月比」が計算できるのは今年1月からとなっていますが、それでも6月の3.8%をのぞけば毎月2ケタ台の伸び、特にここ3か月は30.7%・21.9%・22.5%と三か月連続して前年同月比20%超の伸びがみられます。

広告全体・4大メディア・インターネット広告費(2005年~)

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広告費全体・4大メディア・インターネット広告費の前年同月比(2007年)

両グラフからもわかるように、インターネット広告の広告費は広告全体から見れば、現状ではわずかな額にしか
過ぎませんが、広告費全体、4大メディアの広告費が停滞気味である事に比べると、非常に順調に伸びていることがわかります。
計測し始めてから2年足らずのデータなので今後の動向、傾向が予測できるほどのデータではありませんが、このまま伸びればインターネット広告の広告費が広告全体に占める割合は確実に増加し、他の広告(費)を脅かす存在になるといえるでしょう。

ただ、上記の通り、各既存メディアもコンテンツそのものの価値に力を入れることで、インターネット上での顧客の動きを把握し、今どのような顧客がどのようなコンテンツに興味を持っているのか、どのような顧客に対して、どのように惹きこみ、コミュニケーションを行うかなど、インターネットの広告やインターネットそのものを使いこなして相互作用を狙う動きも多々見えています。
最近のニュースだと、日テレとセブンアンドアイ、電通で新会社「日テレ7」を立ち上げ、通販会社としてマルチメディア展開を行うといった発表がありました。
【発表リリース(PDF)】
日テレ7の場合は、
1.ショッピングポータル事業
・日本テレビで放送される番組と密接に連動するショッピングポータルサイトの立ち上げ
・参加企業各社を含む様々な企業のECサイトと連携
2.商品開発事業
・日本テレビの番組と連携したオリジナル商品を企画開発
・メーカー企業各社に共同開発の提案
3.広告・マーケティング事業
・多様なメディアを連携させた広告、マーケティング手法を開発して広告主企業に提供
という体制で、「テレビ放送事業、流通小売事業、広告・マーケティング事業を行う各社のノウハウや資産」を集約・融合させ、「これまでにない番組視聴スタイルや商品購入スタイルを創造し、新たな販促&コミュニケーション市場を開拓」するとのことです。

広告主の懐具合に大きな変化がなく、既存メディアの広告効果が停滞気味、あるいは広告効果が明確に見えてこないため、次の効果的な施策が行えず劣化してきてしまうようであれば、広告効果、顧客分析、市場動向などがデータとして把握でき、またリアルタイムで顧客行動に合わせた広告戦略が行える可能性の高い、「既存メディアへの広告からインターネット広告へのスライド」という傾向は一層拍車をかけることになると思います。

しかしいずれにせよ、コンテンツ自体のコンセプト、コンセプトとターゲットに合った内容で、コンセプトの価値が生まれ、その価値を見出すのは顧客であるため、Webに広告費用をかけたからといっても、分析と効果測定がデータ化されるのみであり、相乗効果を生み出し、さらなる効果を得るために、新たな広告費をねん出し、コンテンツを提供していくには、結果的にインターネットのみでは完結せず、他メディアとの連携が重要なポイントとなることは間違いないと思います。

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