電通が初の最終赤字:NIKKEI NET
電通の2009年3月期の連結最終損益は200億円程度の赤字(前の期は362億円の黒字)だったもようだ。従来見通しの110億円の黒字から一転、1978年に連結決算の集計を始めて以来、初の最終赤字になる。企業業績の急速な冷え込みで主力の広告の取り扱いが減少したうえ、株式評価損が大きく膨らんだためだ。博報堂DYホールディングスとともに、前期は広告大手2社がそろって最終赤字となる。
NIKKEI NET(http://www.nikkei.co.jp/)
なお、ニッカンスポーツによると、上場後初の赤字決算で、それ以前は創業期の1901年、1902年に赤字となって以来だという。
1901年、1902年というと、日露戦争が1904年開戦。バルチック艦隊と日本海軍が決戦した、日本海海戦が1905年だから、それより前。。。
【出典】
NIKKEI NET(日経ネット)|電通の09年3月期、初の最終赤字に 株式評価損拡大響く
nikkansports|電通107年ぶりの赤字、上場後は初
博報堂と電通が09年3月決算で赤字転落へ
初の最終赤字と発表されたことで、フロントに名前が挙がった電通だが、博報堂も赤字転落している。共同通信からの記事では、
博報堂DYホールディングスは24日、2009年3月期連結決算を下方修正し、純損益が従来予想の23億円の黒字から32億円の赤字になる見通しだ、と発表した。売り上げ減少や株価下落が主因で、赤字決算は03年の経営統合後初めて。
電通も3月期連結決算で、01年の上場後初めて純損益が赤字になる模様。大手2社の不振は広告業界の厳しい現状を象徴している。
博報堂DYは、不況でテレビ、新聞など主要媒体の広告取扱高が低迷し、売上高は前期比7・6%減の1兆333億円の見通し。株式評価損や繰り延べ税金資産の取り崩しなどで、純損益が赤字となる。
電通も、株を保有する仏広告会社の株価下落などで、株式評価損510億円を計上したことが響き、赤字転落する見通しだ。
と、博報堂の名前をフロントに持って来ており、博報堂DYホールディングスとして初の赤字転落であることを伝えている。
こちらの報道当時は、まだ電通の最終発表がされていなかったこともあり、電通が赤字となる見通しのみに触れていた。
【出典】
nikkansports.com|博報堂と電通が09年3月決算で赤字転落へ
2008年頃からの動きを見返してみる
丁度1年前の2008年5月に、「9年連続赤字の時事通信が電通株売却で穴埋め」という記事が、"総合情報誌「ザ・ファクタ」 FACTA online"に掲載されていた。 電通の筆頭株主であった時事通信社が、08年3月期決算の赤字の穴埋めとして、電通の株式約2万株を売却し、保有比率は12. 41%から10.86%に落ちたという記事である。対して電通側は、2008年初から「変革の年」と位置づけて改革に取り組んできたが、同年8月には業績予想の下方修正を発表。
秋には民放各局が減益や赤字決算を発表し、テレビでの売上に大きな比重を置いている電通は、さらなる変革を迫られていると"MarkeZine(http://markezine.jp/)"に指摘されていた。
電通単体売上高の推移
(電通全社、テレビ、マス4媒体合計、インタラクティブメディア、OOHメディアを抜粋)
筆者はWebマーケティングが主体だが、Webを活用したプロモーションなどにおいて、テレビや新聞、雑誌、ラジオの影響は大きいと実感している。
特にテレビの影響力の大きさは否定できない。これだけ多くの利益が上がるだけの理由は十分あると思っている。
棒グラフで見ると、テレビでの利益が飛びぬけているが、以下の表を見ると4媒体の前年割れが続いており、インタラクティブメディアやOOHメディア(交通広告など)が成長を続けていることがわかる。
電通単体売上高の前年比 (2007年1月~2008年10月)
但し、実感としても述べたとおり、前年割れが続いている4媒体に対し、成長を続けているインタラクティブメディア、OOHメディアは売り上げ全体に対して占める割合は非常に少ないことを理解しておく必要がある。
経験上、単純にテレビや新聞の広告費が少なくなって来ているからと言って、Webなどが主力広告になるということではなく、携帯サイトやPCサイトに誘導するためには、テレビや新聞をはじめ4媒体のマスマーケティングは非常に高い効果が出せると思っている。
費用対効果のみを求められると、その説明責任において的確な回答が出しづらいのが、4媒体の特徴と言えるが、インタラクティブメディアとOOHメディアの売り上げが上がっている点においては、携帯サイトやPCサイトに誘導を行う上で、OOHメディアは「来訪者を増加させる=閲覧者の数を把握する」ことが行いやすい事から、インタラクティブメディアとOOHメディアの組み合わせが、広告主に対して売上効果以外での説明責任が果たしやすかったことにあるのではないかと見ている。
テレビの売り上げに対して、インタラクティブメディアとOOHメディアの割合が非常に少ないことについては、電通が毎年発表している「日本の広告費」で把握することができる。
電通平成20年10月度単体売上高
御覧の通り、テレビが46.2%占めているのに対して、タラクティブメディアは1.4%、OOHメディアは2.7%となっている。
読み取るポイントとしては、インターネット広告費は2004年から、1,814億円、2,808億円、3,630億円、6,003億円と成長を続けているのだが、最初の折れ線グラフでもわかるように、電通単体のインタラクティブ広告の売上にそうした変化は見られない点にある。
決してインターネット広告費はそれほど大きくないという事を言いたいわけでは無くて、インターネットを単体で考えず、テレビを始めとした4媒体との連動効果を生みだす上で、インターネット広告はポイントとなっており、インタラクティブメディアやOOHメディアは重要であるということである。
【出典・引用】
総合情報誌「ザ・ファクタ」 FACTA online|9年連続赤字の時事通信が電通株売却で穴埋め
マーケジン・MarkeZine|電通は"テレビっ子"体質をどう変革するのか?―岐路に立つ広告界の巨人
大きな割合を占めているテレビの落ち込みが影響?
MarkeZineによると、電通は単体で327億円の赤字で2001年の上場以来初めての最終赤字となっており、赤字転落の理由に、投資有価証券評価額約510億円(単体では約555億円)の計上をあげているという。上記の通り、電通の売り上げにおいてテレビの比率が非常に高く、2008年の10月、11月に行われた民放各局の決算発表で、スポット広告の不振などにより厳しい決算が相次ぎ、日本テレビ放送網とテレビ東京は赤字、TBSとテレビ朝日は減益となっていたことを振り返ると、投資有価証券評価額が下がった理由に繋がる。
インタラクティブメディア、OOHメディアを有効活用し、テレビ、新聞、雑誌、ラジオといったメディアとうまく繋がることを分析評価することで、売上との連動効果まで繋げ、企画・制作に携わる人々をはじめ、広告主にもその効果を感じてもらえる事が、消費者と商品を的確に繋げていくと思う。
セカンドライフってどーなってるんでしょうかね・・・
技術に惑わされずに、マスにはシンプルな仕組みで楽しいと思ってもらえることと、やる側も楽しめることが重要だと改めて感じている今日この頃。。。
【出典】
マーケジン・MarkeZine|通、単体で327億円の赤字
【関連】
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