Webコンピューティング呼ばれる、インターネット技術と分散オブジェクトを活用してアプリケーションを実行させるシステム形態についてGoogleの情報が多いが、裏側には可能性を秘めているサイトに下記の企業が挙げられる。
ワークデイ(WORKDAY)
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セールスフォース・ドットコム(salesforce.com)
これらの中でも、リアーデン・コマースについては、現在米国で「次のアマゾン・ドット・コムになるのでは」と期待されている。
理由としては、元々企業向けの調達サービスを展開していたが、ソフトウェアをインターネット経由でサービス提供するSaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)と呼ばれる昨今日本でも注目されているビジネスのベンダーとしてである。
同社は2007年に入って本格サービスを開始したばかりではあるものの、2007年前半だけでユーザー数を約600社にまで増やすことに成功した。また、ユーザーは日本でも聞いたことがあるであろう、コンタックやアクアフレッシュ、ポリデント・ポリグリップ、シュミテクトなどを始めとした医療用医薬品、ヘルスケア製品の研究開発、製造・販売を行っている、英グラクソ・スミスクライン(GlaxoSmithKline)や、携帯で有名な米モトローラ(motorola)、日本ではアマナなどスタイリッシュな家電をブランドとして持っている米ワールプール(whirlpool)といった名だたる大企業から、中小企業まで様々だ。この勢いだと、「年内には1000社に達する見込み」と同社ダンフォード プロダクト・マーケティング・ディレクタは語る。
企業向けに足場が固まってきた後に、個人向けサービスに「次のアマゾン」を目指して参入していくというリアーデンのサービスとして、ユーザーが仕事で必要な宅配便、Webコンファレンス、出張時の航空券などのサービスを調達するポータルサイトを提供するという。
例えば宅配便について、事業者ごとに配送にかかる時間に対して、高い料金でスピードを取るべきかを比較することができる。
実際に上記サービスの利用によって、年間数百万ドルのコスト削減を達成した企業もあり、宅配便以外にも、航空券、ホテル、レストラン、役員向けのリムジンの手配など様々なサービスを利用しているという。
ここまででは「次のアマゾン」のイメージは見えてこない...
「リアーデンのサービスは、SaaSとマッシュアップが広がってきた今でなければ実現できないサービス」(フォード ディレクタ)
ユーザーに提供するサービスとして、3万7000店のレストランを含む13万7000社のサプライヤからサービスを調達。サービス事業者とはすべて、インターネット経由のWebサービスAPIを用いてマッシュアップしているという。
これにより、刻々と変わる空席や価格の情報を社員に提供できるようにする。具体的には、3万店以上のレストランを予約できる「Zagat Survey」などのサイトとつなぎ、効率的にサービスを提供している。
「アマゾンやグーグルにもそん色のない使いやすいインタフェースを実現している」という。また、Web2.0的な特徴もあり「社内だからと言って使いにくいシステムはもう使ってくれない」とフォード・ディレクタは強調する。
本サイトでは、Ajaxなどの最新技術を採用し、ホテル、レストランなどの地点が決まっているサービスについては、マッシュアップしたGoogleマップで場所を確認しながら予約することができる。
現状の日本のサイトでいうと、ホットペッパーなどでユーザーが居る地点から、求められるニーズに合致した掲載店舗情報を抽出し、到着時間を割り出した上で予約ができるようなイメージだろうか・・・・
個人向けには広告ビジネスを積極的に展開するらしい。
企業向けには既に実装されているという機能では、スケジュール管理やアドレス帳といったPIM(個人情報管理)機能を持ち、ユーザーがいつ、どこに行って、どのレストランで食事を取るかといった情報を蓄積する。航空機の座席の好みといった情報まで登録してあるそうだ。
例えば、ある日、成田空港の50番ゲートにユーザーが降り立つとする。その2階下には、スターバックスがある。リアーデンは、スターバックスに対して、このユーザーの携帯電話に100円のクーポン券を配る広告を持ちかける。つまり、ユーザーのコンテキスト(時間や場所)に合わせた広告の展開が可能になる。Googleなども、まだ実現できていない、GPS情報との連携広告サービスだという。
個人的にはモバイルキャリアの仕様、セッションを紐付けモバイル向けのレコメンデーションともいえる手法は具現化するに当たっての高い壁があるように思う。
リアーデンには、ユーザーがコンタクトを受けたいデバイスとして、オフィスの電話や、携帯電話、携帯情報端末など、日時に合わせて好みのものを登録する機能もある。もちろん「会議中はコンタクト禁止」といった設定もできる。「将来的には、モバイル向けのサイトも立ち上げたい」(フォード・ディレクタ)という。
ロングテールの広告展開も考えているそうで、大阪駅のターミナル・ビルの有名美容院で、得意客のキャンセルが出たとする。予約は今日の午後4時から。いまから、その予約を埋めるのは絶望的だ。そこでリアーデンに広告を打つ。今日の午後、大阪駅近くにいるオシャレ好きの女性に対して、「今日の4時から、カリスマ美容師によるカットが半額!」。こんな具合だという。
ユーザーの様々な属性に対して、コンテキストに合わせた最適なサービスを提供するという試みは、これまで何度も実行され、失敗してきている。
ソリューションのビジョンに対して、システムの処理という問題や、インフラ、市場のニーズなど様々な要因については今後も課題となると思っているが、SaaSという定義においての処理分散、マッシュアップによるニーズへの対応など新技術の登場によって、再度脚光を浴びると期待してみたいと思う。
【引用】"次のアマゾン"、リアーデンを知っていますか?
(安東 一真=日経コンピュータ) [2007/11/13]
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