モバイル・携帯におけるキャンペーン実施前のポイント by 「モバイル マーケティング ソリューション ガイドライン」
先日公開された、モバイル マーケティング ソリューション協議会(以下:MMSA)の
「モバイル マーケティング ソリューション ガイドライン Ver.2.2」(以下:MMSG)より、
第2章 業務を受注する前に
その1 キャンペーンプロセスからみる確認ポイントについて
にてポイントを紹介したいと思う。
なお、MMSGの最新版となるVer. 2.2は、2009/7/9時点で、MMSAのサイトからPDFダウンロードができない状況だが、問い合わせから配送をお願いすることができるとのことだ。
【出典・引用・関連】
モバイルマーケティングソリューション協議会(http://www.mmsa.jp/)
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キャンペーンプロセスからみる確認ポイントについて
実施前
オリエン~プランニング
自主提案を行なう場合でなければ、広告主や広告会社の担当者から目的や期間などの説明をうけるオリエンがありますが、いくつか確認するポイントがあります。以下は基本的な確認要素で、プランを練る際にも必要になるので、確実に確認をしておきましょう。通常の業務で5W1Hが重要なように、キャンペーンやプランニングする際にも重要です。
目 的
キャンペーンの目的はブランディング施策、チャネル施策、短期的購買数の向上施策、生活者からの情報収集(属性、アクセス状況、趣向、購買頻度など)、会員獲得など多々あります。最終目的をどこに置くかで、懸賞の形式やプレミアム予算、ターゲット設定などが変化し、プランニングが変わります。 最終目的をこの時点で明確にしておくことによって、アクセス解析のポイントも明確になり、どのようなデータをどのような数値で追いかけ、そのために制作時に組み込む仕組みや、データの活用法が見えてきます。
ターゲット
モバイルを使ったキャンペーンなので、ターゲットは10代~30代中心と捉えられがちですが、本来考えるべきは、広告主は「どのような属性のユーザ」に何を伝えたいのか?という課題を検討することです。対象商品により、ターゲットが変わるのはもちろんのことですが、コンテンツの内容やキャンペーンサイトの作り方によっても、ターゲット変更が可能であるため、企画段階でのターゲット層の明確化が必要です。熟年層もターゲットとする場合、PCやハガキを併用したキャンペーンの提案も効果的です。また、ハガキ応募との併用などによって、応募者全体の底上げも可能となります。 事前に統計データによって、ターゲット属性のキャリアやモバイル端末機能、利用頻度などの把握や、解析データによるマーケット調査も非常に有効な情報となります。 リアル媒体からの誘導などにおいても、パラメータ出稿を行うことで、携帯サイト上での効果測定を効率的に行うことが可能となります。
キャンペーンシナリオ
オリエンの際には決まっていない事もありますが、キャンペーンシナリオ(オープンまたはクローズドキャンペーンの選択)によりシステム内容が変動するので注意が必要です。仮にクライアントからのキャンペーンシナリオの要請があったとしても景品表示法上問題ないか、再度確認するようにしましょう。キャンペーン期間終了後の一括抽選(事後抽選)や、毎週抽選(複数回分割抽選)など抽選の方法も検討が必要です。
<クローズド懸賞例>
また、上記以外に応募のみ受付して事務局で事後抽選のケースもあります。
- シリアル1枚1口のインスタントウィン
- 複数枚1口のポイントコレクト型インスタントウィン
- はずれベタでデジタルプレミアム
- はずれポイントで更に応募
- アクセスしていただいた方にデジタルプレミアム進呈 など
<オープン懸賞例>
- クイズ(アンケート)に答えて応募 など
応募形式
デジタルキャンペーンでは、モバイル、PC、ハガキ併用など複数の応募手段が組み合わされます。 媒体ごとにパラメータ出稿や、アクセス先を変えるなどによって、それぞれの効果を明確に解析することが可能となります。
準備スケジュール
キャンペーン実施期間はもちろんの事、それを実施する際に必要となるキャンペーン前の業務、キャンペーン実施中の業務、キャンペーン終了後の業務などは、すべてスケジュールを中心に決定していきます。
対応キャリア
携帯電話の種類には、NTTドコモ(iモード)、KDDI(EZweb)、SoftBank(Yahoo!ケータイ)3種類があり、サイトの対応機種としては全機種対応が基本ですが、推奨環境などの明示により主流機種だけの対応とする場合もあります。PCよりも画面サイズが小さく「モバイルは簡単にサイトが作れる」イメージを持っているクライアントも数多くいますが、3キャリア横断し多くの機種に対応するには、PC以上に煩雑な業務が発生し、サイトの制作期間や予算にも大きく関わるので、事前に確認をとるようにしましょう。画像作成コストと、検証負荷の低減には、機種ごとに最適な画像サイズとフォーマット変換を行う画像変換サービスの利用も効果的です。ターゲットや端末のアクセスシェアに応じて対応端末をハイエンド側から絞るのもよいでしょう。モバイルはPC以上に煩雑な業務(対応端末別の制作や画像変換サービス、フォーマット変換など)が発生し、サイトの制作期間や予算にも大きく関わるので、事前の確認が重要です。 またイー・モバイル端末やiPhoneといった、あらかじめPCブラウザが搭載されている端末は、携帯端末ではなくPCとして画面の出し分け設定をすることが多くなっています。 「マーケティング情報の収集・解析」によって、的確なマーケットを探りましょう。
告 知
告知のありなし、告知媒体の種類によって、アクセス状況が変化します。特にモバイルでのメール媒体などで一気に告知する事がある場合は、過度なレスポンスがある場合も想定され、サーバパフォーマンスに影響を及ぼす恐れがあるので事前の確認が必要です。また応募者数の多少もシステム環境を考える上においては同様です。マス媒体、ウェブ媒体共に出稿するタイミングと媒体特性、そして応募者数想定の把握に努め、サーバ環境との整合性を取るようにしましょう。 媒体ごとの効果測定方法についても検討を行いましょう。
購買証明
<全チェーン対応>
流通を特定しない場合は、メーカー工場からの出荷時に購買証明を商品に添付する必要があります。但し、エリア別や個店別のデータ集計を取りたい場合は、購買証明を発行する事前段階で判別できる仕組み(チェックデジットなど)を組込む必要があります。
- 商品添付のシリアルNO.入りシール
- 商品パッケージに印字
- 商品パッケージに同梱
<特定チェーン対応>
*店頭にて購買証明配布特定チャネルとのタイアップキャンペーンの場合、商品自体に購買証明を付与しなくとも、店頭オペレーションによって、消費者に購買証明を渡すことが可能です。
- レシートに印字
- スクラッチカード
プレミアム
生産や調達、郵送が必要な、いわゆるリアルなプレミアムを賞品とする場合は、プレミアムの制作スケジュールによっては、発送数に限定がされる場合があるため、当選数の各日の出し方にも影響が出てきます。プレミアム制作サイドとの情報共有が必要です。 デジタルプレミアムの場合は、デジタルプレミアムの種類(待受画面・着メロ®・メルマガ(占いなど)・クーポン・待受Flash・各種アプリ<ゲーム、時計、占いなどのコンテンツ系>・デコメテンプレート・電子書籍・アバター・フォトフレーム・・・)の企画決定は、対する対応機種の明確化はもちろん、著作権などの十分な配慮が必要です。対応機種の絞り込みはクライアントと協議調整をおこないます。待ち受け画面には、機種ごとに最適な画像サイズとフォーマット変換を行う画像変換サービスの利用も効果的です。 「マーケティング情報の収集・解析」によって、対応機種のマーケット情報の把握、機能情報の把握も行っておきましょう。
シリアルナンバーの発行
クローズドキャンペーンの場合、その購買証明としてシリアルナンバーを発行し、シールなどで対象商品に添付します。なりすまし(IDナンバーを予想で打ち、購入なくキャンペーンに応募しようとする行為)を防止するために、チェックデジット入りのナンバー(システム会社の工夫により異なる)をシリアルナンバーとして使用します。予算に応じて商品のロットナンバーやバーコード番号でシリアルナンバーを代用する方法もありますが、厳密な購買証明とはならないため注意が必要です。シリアルナンバーの総数はクライアントの希望により決定されるケースが一般的です。印刷予備分も含めますので、必要シリアルの130~150%が総発行数となります。 シリアルナンバーの入力情報を解析することが可能なツールも存在します。 複数機種から同一のシリアルナンバーの入力や、同一機種から未発行シリアルナンバーの膨大な入力など、不正アクセスなどのリスク回避に役立てることが可能です。
サーバの所在
基本的には運用サイドでキャンペーン用のサーバ環境を用意し、クライアントのホームページとリンクを張る手法を取ります。データのやり取りなど作業工程が複雑になるため、サーバは制作サイドで持つのが作業効率上もスムーズです。キャンペーン規模に応じたアクセス想定値をベースに、必要十分な台数を用意します。ハードウェア障害発生時の対策として、サーバ・ネットワークの冗長化構成の採用や負荷監視・稼動環視の導入、「アクセスが集中しています」画面の表示用サーバ導入、CDN(負荷分散し安定配信させる仕組み)の導入、データのバックアップ機構の用意、セキュリティ対策としてファイアウォールの設置やウィルス対策ソフトの導入など、提供したいサービスレベルに応じた考慮が必要です。
また、個人情報の授受に配慮してSSL通信を使うものとし、サーバ証明書を取得しておく必要があります。取得には10営業日程度必要なため、余裕を持って準備します。キャンペーン期間中には、不正応募やアタックなど、様々な障害要因となることが発生する可能性があります。事前にこれらの対応策についても検討が必要です。
サーバは制作サイドで持つのが作業効率上もスムーズであることは上述の通りですが、事情によってはクライアントサイドのサーバ環境を使用することが条件となる作業もあります。この場合はクライアントへコンテンツを納品しすることになりますが、たとえ動的要素のない静的な情報ページのみであったとしても、機種判定プログラムの存在や携帯用の画像出し分け設定など、事前の確認が必要です。
コンテンツのトラフィック解析を行うことができるツールやサービスが存在します。
急激な負荷を事前にアラートメールなどで把握することで、機会損失などのリスク回避に役立てることが可能です。
告知ドメインについて
ドメインはキャンペーンの顔であるため、簡潔で分かり易いものを選ぶことが重要です。クライアント側で取得しているものを使用する、運営者サイドで、キャンペーン用に取得する。どちらを選択するのかを決定します。ブランドサイトのドメインなどの既存ドメインにサブドメインを設定して使うのか、キャンペーン独自のドメインを使うかでドメイン取得に必要な手続きが変わってくるため注意が必要です。 アクセス解析データによって、どのドメインからの流入が価値の高いアクセスになっているかなどを把握することが可能なため、事前に利用ドメインを把握し、解析ツールへの設定を行うことで、効果測定が可能となります。
事前告知・終了告知
事前告知・終了告知をする場合、サイト上の告知内容だけでなく、期間中の事務局対応はどうするか、管理画面はいつまで利用可能とするかなどもあわせて調整します。終了告知期間が終わった後についても対応窓口についても検討が必要です。事前告知・終了告知期間中も発生するサーバ維持費用にも考慮が必要です。特に、キャンペーン開始直後と、終了直前は事務局へのお問い合わせが増加するため、十分な回線数とオペレータの確保が必要となります。事務局においては、事前告知期間と終了告知期間に、実施期間中より回線数やオペレータの人数を減らすなど、最適化へ対する考慮が必要です。
事務局の要件確認
- 受付手段:電話(回線数)、メール
- 事務局開設期間/時間/休日対応の有無
- フリーダイヤルやテレドームの使用有無
- コール想定数、メール総定数
- 時間外アナウンス:期間前、期間中、期間後
- 報告書(日報/週報/月報)
- 抽選業務の有無、回数
- 応募総定数
- 当選者入力項目
<例>①郵便番号、②住所、③氏名、④氏名フリガナ、⑤電話番号、⑥コース - 当選者要件確認:クイズに正解する
- 重複確認の有無(手抽選と電子抽選分)
- 景品発送用データ納品回数
- 応募ハガキ保管期間
【出典・引用】
モバイル マーケティング ソリューションガイドライン Ver.2.2|モバイル マーケティング ソリューション協議会 発行
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