モバイル・携帯におけるキャンペーン:定義・法規、そしてシステム面から見る確認ポイント by 「モバイル マーケティング ソリューション ガイドライン」
先日公開された、モバイル マーケティング ソリューション協議会(以下:MMSA)の
「モバイル マーケティング ソリューション ガイドライン Ver.2.2」(以下:MMSG)より、
第2章 業務を受注する前に
その2 定義・法規、そしてシステム面から見る確認ポイントについて
からポイントを紹介したいと思う。
なお、MMSGの最新版となるVer. 2.2は、2009/7/9時点で、MMSAのサイトからPDFダウンロードができない状況だが、問い合わせから配送をお願いすることができるとのことだ。
【出典・引用・関連】
モバイルマーケティングソリューション協議会(http://www.mmsa.jp/)
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定義・法規、そしてシステム面から見る確認ポイントについて
キャンペーン主体と責任について
キャンペーンを実施する場合の主体は、当然キャンペーンを実施するクライアントにあります。オープン懸賞やクローズド懸賞など、キャンペーン手法はいくつもありますが、受注しているプロダクションやシステムベンダーにはありません。あくまで消費者との関係で考えた場合、受注している側と消費者との間では責任は発生しないのが基本です。但し、受注している側もキャンペーンに係る定義・法規を考慮した上で、クライアントと業務を行うことが望ましいです。 当然、業務を請け負う側にも責任がありますが、消費者に対しての責任ではなく、発注者であるクライアントとの間での責任が発生することを念頭に置かなければなりません。
受注側の責任について
受注側の責任の範囲は、キャンペーンや請け負う業務毎に異なります。消費者に対して最終的な責任を持つクライアントは、ミスがないように業務手順書やプライバシーポリシーやセキュリティポリシーだけでなく、ミスがあった場合の保証などを取り決めた「契約書」の締結を求めるケースが一般的になっています。受注側においてもリスクヘッジを考慮し、クライアントの言い分だけではなく、双方の責任の範囲を明確化した上で、契約を締結する事を推奨いたします。
景品表示法について
キャンペーンを直接規制する法律として、「景品表示法(正式名:不当景品類及び不当表示防止法)」があります。過剰に豪華な景品の提供を餌にして商品を購入させる行為は、消費者の感情を必要以上に煽り妥当な判断を出来なくさせてしまい、ひいては公正な企業の競争秩序を乱すおそれがあるとして、この法律によって規制されています。これらの規制をクリアしていない違法キャンペーンは、最悪の場合、たとえキャンペーン途中であっても中止せざるを得なくなり、関係者にとっても信用の失墜・大きな損害となってしまいます。提案・受注する際にはこれらの規制に対する確認が必要です。主な種類としては、クローズド懸賞・オープン懸賞・ベタ付け景品等があります。
<クローズド懸賞>
取引付随=自己と取引をした消費者(将来の取引予定の場合を含む)に限定して、抽選・ゲーム・クイズ等何らかの方法で当選者を抽出して景品類を提供すること<オープン懸賞>
消費者に広く商品等を紹介する手段として広告を行ない、広告内で一般の消費者に対して懸賞を行なう方法です。取引付随がなく、広く告知している事が条件となります。なおインターネット(モバイル)上での告知のみでも、広く告知しているものとして認められるケースもあります。<ベタ付け>
自己と取引をした消費者に対して懸賞によらないで、もれなく景品類を提供すること。総付景品ともいいます。
規制の概要について
キャンペーンの種類それぞれについて、下記表のとおり景品にできるものの上限金額が定められています。 金額の算定は一般に流通している「市価」が基準となります。デジタルプレミアムなど一般には販売していない景品類の場合は、その景品と類似するものを購入する場合の一般的な価格を景品価格として考えます。表:景品価格の上限
取引金額 景品類の限度額 最高額 総合計額 オープン懸賞 - 上限なし - クローズド懸賞 5000円以上
5000円未満10万円
取引価格の20倍売上予定総額2% ベタ付景品 1000円以上
1000円未満取引価格の2/10
200円- オープン懸賞と考えていたが実際には取引付随性がありクローズド懸賞(「オープンくずれ」という)になってしまうケースや、取引価格についての業界毎・商品毎の考え方なども様々あるので、疑問がある場合は、充分な確認を行ないましょう。
個人情報の取り扱いについて
キャンペーン応募者の情報は個人情報として「個人情報保護法」で規制されます。キャンペーンの受注にあたっては、応募者情報の取り扱いについて充分に配慮する必要があります。この法律における「個人情報」とは、「生存する個人に関する情報であって、当該情報氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの」とされています。基本的には、氏名・住所・生年月日などですが、メールアドレス、アンケートの回答内容などもそれらの情報と照合できる状態であれば当然個人情報の範囲に含まれます。<個人情報取扱の原則>
同法では、「特定された利用目的の達成に必要な範囲を越えて、個人情報を取り扱ってはならない」とされており、個人情報を利用する場合には、あらかじめ利用目的や利用者の範囲を明確にして個人情報を取得する必要があります。原則はクライアントの責任ではありますが、たとえばキャンペーン応募フロー(画面)の制作等において、「あなたの個人情報は、クライアント及びその業務委託先企業によって収集され、マーケティング調査及びプレゼント発送の目的で利用いたします。第三者への情報提供は一切行ないません。」などのパーミション文言を明記し、利用範囲と利用者をユーザに明確に示し、承諾を得るステップを設ける事が必要です。また、キャンペーン業務の受託先企業としても守らなければならない事項がいくつかあります。
- 本人の許可なく他の目的のために利用しないこと
たとえ、クライアントから他の目的への再利用について承諾をもらったとしても、情報を提供した個人自身に許諾をもらった訳ではないので、それは使用できません。- 適切な管理体制を構築すること
個人情報を扱う以上、システム的なセキュリティは勿論のこと、人的なセキュリティにも充分に留意する必要があります。昨今は、委託先企業の従業員や退職者の手による流失・漏洩等が頻発しています。具体的には、入退室管理・作業者の限定および業務の分散化、アクセスログの保管などが予防策として有効と考えられています。プライバシーマークの取得が作業委託の条件となっているのが一般的です。- 委託業務終了後は原則として個人情報を消去すること
クライアントとの委託業務の関係が終了した後も、個人情報を保有し続けることは好ましくありません。一定期間の経過後に完全消去することが望ましいです。最近では、クライアントから「消去証明書」等を要求されることが一般的です。こちら側のリスクヘッジにもなるので、完全消去や消去証明書の発行を実施することを推奨いたします。
個人情報保護法について
内閣府のサイトを参照し、不明な点は各事業者が問い合わせを行ってください。 http://www5.cao.go.jp/seikatsu/kojin/
プライバシーポリシーの制定
個人情報を取り扱う企業は、企業としての「個人情報の取扱方針」を明確にし、自社HPなど消費者の目に触れる場所に掲載する事を推奨します。参考まで一般的なプライバシーポリシーを掲載します。プライバシーポリシー( 例 )
- 個人情報保護責任者および保護体制を明確にし、個人情報を適正に管理いたします。
- 個人情報の取り扱いは、収集の目的および使用の範囲を明確にし、適法かつ公正な手段によって行ないます。
- 個人情報を保護するため、当該情報への不正アクセス、紛失、破壊、改竄および漏洩等を防止する適切かつ最善の管理体制を講じます。
- 個人情報を提供する場合は、その個人より適正に同意を得た範囲に限定し、厳正な管理のもとで提供します。
- 個人情報の処理を当社の協力会社に委託する場合は、当社の厳正な管理のもとで行ないます。
- 個人情報の取り扱いについては、個人情報に関する法令・関係諸規則ならびに社内コンプライアンス・プログラムに従うとともに、情勢・環境の変化を考慮して継続的な個人情報保護体制の維持、改善を行ないます。
コマース運営主体と責任について
コマースサイトを運営する主体は、コマースを実施するクライアントにあります。コマースサイトの運営手法は、商品の仕入れから配送・料金回収確認などの一連業務を全て運営主体が実施する場合から、一部業務のアウトソースを実施したり、場合によってはサイト上での販売業務のみを実施するようなドロップシッピングに近い形態の場合まで、様々にあります。基本的には受注しているプロダクションやシステムベンダーに責任はありませんが、レベニューシェアなど契約の形態によっては一部責任を負うことになる場合があります。その場合には利用規約にその旨を明記するなど、責任の所在は消費者に明確になるように注意が必要です。また、配送業務や決済業務など、事実上アウトソースせざるを得ない業務においてミスが発生した場合にも、消費者はコマース運営主体に責任を求めてくることがあります。アウトソース先の選定責任も運営主体側にあると考え、真摯に対応することが求められます。
<受注側の責任について>
受注側の責任範囲は、請け負う業務ごとに異なります。消費者への最終的な責任を持つコマース運営主体たるクライアントは、ミスがないように業務手順書、プライバシーポリシー、セキュリティポリシーを作成するだけでなく、ミスがあった場合の保証などを取り決めた「契約書」の締結を求めるケースが一般的です。受注側においてもリスクヘッジを考慮し、クライアントの言い分だけではなく、双方の責任の範囲を明確化した上で、契約を締結する事を推奨いたします。特にコマースサイトにおいては複数の事業者が関わるケースが多いため、責任範囲の明確化とクライアントとの認識の刷り合せについては綿密に行うべきでしょう。
<特定商取引法について>
特定商取引法(正式名称「特定商取引に関する法律」)は、訪問販売・通信販売・電話勧誘販売などについて規定する法律です。訪問販売など消費者トラブルを生じやすい特定の取引類型を対象に、トラブル防止のルールを定め、事業者による不公正な勧誘行為等を取り締まることにより、消費者取引の公正を確保するために定められています。本法律の遵守責任はコマースサイト運営主体にあります。 参考URL:特定商取引に関する法律(経済産業省) http://www.meti.go.jp/policy/economy/consumer/consumer/tokutei/index.html〔参考〕プライバシーマーク認証制度について
プライバシーマークとは個人情報について適切な保護措置を講ずる体制を整備している民間の事業者に対して、経済産業省の認可法人である財団法人日本情報処理開発協会より付与されるマークです。最近ではクライアントの個人情報漏洩リスクの観点から、個人情報取扱業務を委託するにあたってはプライバシーマークの認証があること、もしくは同レベルの個人情報管理体制であることが、一般的な取引の条件・発注の条件となります。今後、ますますプライバシーマークの重要性は高まってくるものと考えられます。【出典・引用】
モバイル マーケティング ソリューションガイドライン Ver.2.2|モバイル マーケティング ソリューション協議会 発行
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