無料のモバイル解析サービス「うごくひと2」
2008年に携帯サイト向けの無料解析ツール「うごくひと」を公開している株式会社ユーザーローカルは、商用モバイルサイトをターゲットとして、「うごくひと2」を公開した。性別・年齢、地域を始めとするユーザー属性をページ毎に分析できるなど、「うごくひと」に10の機能を追加することで、ユニークユーザ、セッション分析、滞在時間、直帰率、CSV一括ダウンロード機能といった法人用途の実用的な機能を搭載したとのこと。
また、既に以前紹介した無料携帯サイト解析サービス「myRTモバイル(http://myrt.auriq.com/mobile/jp/)」で搭載されている、
検索エンジン、検索キーワード、流入ページ(ランディングページ)の解析機能を加えることで、
携帯SEO(検索エンジン最適化)/携帯SEM(検索エンジンマーケティング)の効果測定も可能としたとのこと。
「myRTモバイル(http://myrt.auriq.com/mobile/jp/)」において公開されている解析タグは、HTMLタグと、PHPタグだが、利用者有志によりRuby on Rails、Perlに加えて、ASP(Active Server Pages)やIIS(Internet Information Server)に対応したタグも作られている。
「うごくひと2」も、HTMLタグ版のほか、PHP、Ruby on Rails、Perlといったプログラム言語と連携することが可能とのことなので、ASPやIISに対応することも可能だろう。
【出典】
株式会社ユーザーローカル
ニュース|携帯サイト用の無料アクセス解析「うごくひと2」を公開商用利用可、ページや検索ワードごとに年齢・性別分析が可能に
「うごくひと2」の新機能
- 年齢・性別・地域を分析
サイト訪問者の年齢層、男女比、都道府県別の割合など、「どんな人がこの携帯サイトにアクセスしているのか」を推計可能。うごくひと2からはページごとにも算出できるようになりました。 - サイト来訪頻度・携帯ネット利用頻度などのユーザー行動を分析
サイト来訪者の「常連」と「一見さん」の割合を解析します。また、そもそも携帯でインターネットをどれくらい使うユーザーが来訪しているかも3段階で分析可能です。 - ユニークユーザー数、訪問者数分析
ページビューだけでなく、ユニークユーザーやセッション(訪問者)数による解析に対応しています。ユニークユーザーや訪問者数はページごとの解析にも対応しています。 - 検索キーワードの影響力をマトリクス表示する「検索ワードチャート」
直帰率と検索回数、滞在時間をかけあわせて検索キーワードをビジュアル化。どんなキーワードを伸ばせばいいのか、携帯SEOに応用できます。 - 滞在時間解析
滞在時間のばらつきをビジュアル化する機能を追加。30秒以上読んでいたユーザーはどれくらいいたのか、などを解析します。 - 参照元ページ(リファラー)分析
サイトにどこから来たかを分析。検索エンジンごとやドメインごとなどでも絞り込めます。 - 携帯キャリア別解析
docomo、au、ソフトバンクなど携帯キャリアのアクセス数の割合を解析できます。 - 携帯端末分析
機種名ごとの利用状況、画面サイズ、GPS・ワンセグなどの機能搭載比率、通信速度のカバー率などをビジュアル化します。 - グラフィカルな管理画面
解析対象サイトのキャプチャ画像を表示するなど、解析データが直感的に分かるような構成を取っています - CSVダウンロード機能
サイト全体、ページごとの数値データを一括ダウンロードできます。
といった内容となっている。
個人的には、かなり「myRTモバイル」を意識したバージョンアップになっている印象を受けた。
何よりも、「myRTモバイル」が既に製品版の「RTmetrics」にて展開済みである、Webサイト提供業者、ポータルサイト、Webコンサルティング会社、広告代理店等に向けた、OEM提供(Original Equipment Manufacture)において、ユーザーローカル社も同様の展開を行うことを発表している点でも、オーリック社を意識していることを感じる。
制限項目もmyRTモバイルを意識?
解析対象サイトのPV数も無制限、バナー広告も表示されない「myRTモバイル」に対して、「うごくひと2」でも、 「法人ユーザー様向けのタグを使うと広告は表示されません。」 としている。 オープン当時 ・設置できるサイトアクセスは1日あたり2万ページビューまで としていた制限は、「うごくひと2」では記述されていない。 PVの制限については蓄積データの容量に依存するため、複数サイトによって月数億PVのデータが蓄積され、それらが出力されるサーバの負荷はかなり大きく、運用リソースコストにも影響してくる。 「うごくひと2」では、保存期間について全く触れられていない点は、ある意味月間数億PVのデータを蓄積し、集計可能としている「myRTモバイル」とのチキンレースのようにも見える。また、本来DoCoMoの仕様上タグによる解析ができない参照元や検索キーワードの分析については「myRTモバイル」と同様に、取得できないとしているが、HTTPS(SSL)ページの分析については触れられていない。
本来HTTPS(SSL)ページは、個人情報や、カード番号、パスワードなどが含まれるため、タグ方式では外部にそれらのデータが送信されてしまうため、セキュリティ上注意が必要な点となる。
よって、DoCoMoでは仕様上タグなどによる外部へのデータ送付を許可していない。
myRTモバイルでは、セキュリティ上HTTPS(SSL)ページの解析を行えないようにもしているとのことで、HTTPS(SSL)ページの解析を行いたい場合は、運営サイトのセキュアなネットワークに接続できる製品版のみで、全てのキャリアのHTTPS(SSL)ページの解析を可能としているとのことだ。
【引用】
無料携帯アクセス解析「うごくひと2」
中段「よくある質問」から引用
独自のユーザ属性連携と、ユーザインターフェースが魅力
myRTモバイルをはじめ、他社の携帯アクセス解析ツールと「うごくひと2」の違いについては、 上記よくある質問でも語られている通り、独自エンジンによるユーザー属性分析が、最大の特徴としている。 筆者の推測の域を出ないが、おそらくImpressが発行する「ケータイ白書」やビデオリサーチ社のケータイ調査資料などから、統計情報を流しこみ、一致させているのではないかと考えている。 筆者がここ数年数々のモバイルサイトのコンサルティングを行うに当たって、解析データを用いてきたが、利用統計情報と、実サイトへの来訪者属性(年齢、性別、職業など)が統計として見ても、近しい値になったことが無い。 健全かつ知名度の高いポータルサイトなどでは、比較的近しい値になるが、現状のモバイルサイトは、PCでイメージするポータルサイトではなく、何らかのカテゴリに寄ったサイト、専門職の強いサイトが多いこともあり、来訪者属性を捉え、プロフィットしていくには、会員登録まで行かずとも、来訪者自体から何らかの方法で情報を得る必要がある事に行きついた。何らかの方法の一つを伝授してしまうと、
「占いサービス」
である。
ピンときたかたもいると思うが、細かい話をしてしまうとセンシティブな部分にタッチすることになるのと、「占いサービス」の印象操作になりかねないので、割愛する。
というわけで、色々と苦労した属性分析だが、正確性は求めていないが、統計としてどの程度近しくなるのか、利用してみたいと思う。
また、ユーザインタフェースに関しても、良く版権許可が下りたと感心する、来訪者の携帯機種が写真で表示されるレポートがある。
写真で見ることができると、非常にわかりやすい。
大型電気店などで見かけた機種が、写真で掲載されていると、
「あぁこの機種って結構利用されてるのね」
とわかりやすいが、
以前広告関連の仕事の時に、携帯端末の画像を使用するに当たっての制限が、以上に厳しかったのを思い出した。
携帯の普及などに伴って、版権などの制約が緩くなったのか、ユーザローカル社が版権部分もクリアしたのか、興味がある。
いずれにしても、「myRTモバイル」に比べて、「うごくひと2」の方が受け入れやすいレポート画面という印象だ。
ユーザ属性情報の収集から繋がるセンシティブな世界
属性情報を得ることができるということは、現状一般的なWeb広告手法であるキーワード連動型広告
に加え
嗜好連動型広告
が可能となる。
現時点で「うごくひと2」は、ユーザの属性情報を元に広告ビジネスと結び付けるような動きは見えないが、「myRTモバイル」のオーリック社や、先日NTTに買収されたデジタルフォレストの「ビジョナリスト」、Omniture社の「サイトカタリスト」に比べて、アクセス解析ツールそのものが主たる収入源であるか見え辛いユーザローカル社の今後の動きが、こういったユーザ行動分析情報と、広告マーケティングなどと結び付けていこうとしているのではないかと見ている。
「嗜好連動型広告」は筆者自身も興味があるが、
グラビアサイトに行った後、競馬情報サイトに行って、麻雀ゲームサイトに行った携帯ユーザに対して、栄養ドリンクなどの広告を表示させたり、
女性ファンの多いアイドルサイトに行って、コンサートチケット情報サイトに行って、アパレルコマースサイトに行った携帯ユーザに対して、経路探索や交通チケットの広告を表示させることができるなど、
利用者にとっても、広告主にとっても繋がりやすい広告となるとは思うが、
自分の嗜好が知られてしまうことに対する嫌悪感や、嗜好だけでない情報も取得されているのではないかといった嫌疑感から、携帯サイトのマーケットの縮小に繋がってしまいかねないセンシティブな要素をはらんでいる。
携帯サイト解析は、ちょっとずつ盛り上がってきている?
「myRTモバイル」のリリースより少し早く公開された、「うごくひと」その後「myRTモバイル」が、PHPタグを公開することで、ページ毎の解析、自然検索キーワード、参照元やランディングページ解析機能が使用可能となり、今回「うごくひと2」によって、どう機能が利用可能となった。
現状ではGoogle Analyticsは携帯サイト解析としては出しておらず、Google Analyticsで解析を行うには、個人の責任の範囲で色々と作り変えなければならない。
その他解析サービスでも、無料の携帯サイト解析ツールは、まだまだ少ないようだが、「うごくひと2」のリリースと、ユーザローカル社の戦略によって、
携帯サイト市場そのものが今後活性化していく事を期待している。
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